琉球大学耳鼻咽喉科

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 2006年2月1日から東野哲也教授の後任として琉球大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座を担当しております。私が琉球大学に応募した最大の理由は、沖縄県は豊かな自然に恵まれておりじっくりと腰を据えて臨床、教育、研究に取り組むことができると考えたからです。琉球大学は1950年に開学されていますが、医学部は沖縄の日本復帰(1972年5月15日)から遅れること約9年、1980年10月に設置され、1981年4月から学生受け入れが始まりました。耳鼻咽喉科学講座は1983年4月に新設されています。初期には内地の大学で学んで戻ってこられた多くの内地留学生が入局され教室の基礎を作っていただきました。琉球大学で育ったこれらの先輩方が沖縄各地で現在も活躍していただいており、若い医師の教育・研修に関しては大変恵まれた環境にあります。

 当科は沖縄県の地理的条件から県内の全ての難治性疾患に対して高度医療を提供する社会的使命を負っています。特に人工内耳手術に関しては県内唯一の医療機関であり、産婦人科・小児科・地域の療育機関・ろう学校を含む教育機関と協力して乳幼児聴覚スクリーニングシステムを構築し、診断後の治療までスムーズに移行できるような体制を整えています。現在、日本人死因の約30%は悪性新生物であり、頭頸部悪性腫瘍も増加傾向を辿っています。頭頸部領域は感覚器としての側面に加え、摂食・発声・呼吸など重要な機能を担い、複雑な解剖・神経機構を有するため,この部位の悪性腫瘍の治療にはそれらに精通した耳鼻咽喉科医師が行う必要があります。この他にも沖縄県では他府県と比し炎症性疾患(中耳炎,副鼻腔炎,扁桃炎など)、アレルギー性鼻炎が多いため、耳鼻咽喉科医が活躍できる場が数多くあります。当科ではめまい・難聴などの神経耳科疾患から悪性腫瘍まで広い守備範囲をカバーし、患者様の期待に応えるべく日夜努力しております。

 教育では卒後教育を充実させ科学的探求心に富んだ耳鼻咽喉科医を育成することが重要です。私は臨床医を育てるためには、「みる、知る、実行する」の3つが必要不可欠と考えます。みるは病める人の立場に立って診察をおこなうこと(診る)及びできるだけ多くの手術を経験する(見る)ことを指します。知るは、臨床で疑問に思ったことを突き詰めて自分で学習することを、実行するは実際に手術を行う、調べて見いだしたことを研究・発表するということを指しています。常にこの3つをバランス良く反復してゆくことが、思慮深い優れた医師を育成することにつながると確信しています。

 研究では基礎医学のサポートを受け最終的には臨床応用を視野においた広い意味のトランスレーショナルリサーチを目指しています。教室員とともに将来を見据えた研究を行い臨床へ南風を吹かせたいと願っています。

教室の歴史

東野哲也教授と野田寛教授

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